Diary of Takashi Otsuka Architect Office



目神山の家6 − 断熱
屋根や外壁下地と並行して、室内側では断熱工事が進みます。


ここで採用しているグラスウールの充填断熱では、室内側からの湿気を防ぐための気密処理がカギになります。柱・間柱・梁に防湿シートを留めていきます。


下の写真右上のような配管貫通部分は気密テープでしっかりと処理をします。


断熱について、現在広く採用されている基準は、長期優良住宅等の条件ともなっているいわゆる次世代省エネ基準です。
今回はお客様の要望で、また事務所の方針でもあるためこの基準をクリアするよう計画していますが、比較的コストをかけずに断熱性の向上を図れる壁などには基準より余裕を見込んだ性能を持たせています。

また、次世代省エネ基準にはトレードオフ規定というものがあり、厚い断熱材が施工しづらい屋根などは断熱材を薄くして、その分外壁や窓の断熱性を上げることで基準をクリアできるようになっています。
この場合建物全体では数字上は必要な断熱性能がとれることになりますが、夏の屋根への日射対策に不安があるため、屋根断熱には熱線を反射する遮熱フィルム付の断熱材を使うことで対応しています。
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目神山の家5 − 屋根
中間検査が終わると、建物内外の工事が同時進行で一気に次の段階へ入ります。

この日は屋根工事です。ここでは耐候性の高いガルバリウム鋼板を採用しています。

本体の屋根は突起の出ない平葺きという葺き方です。このような横長の板をかみ合わせながら下から上へと葺きあげて行きます。下に見える緑色のシートはアスファルトルーフィングという防水シートで、鋼板とシートで二重に止水を図る構造です。


木造建物に金属板葺きなので、雨音対策として防音効果のある接着剤を使用します。その名も「オトナシエース」。建材にはなぜかこういうネーミングが多いです・・・


1日でここまで葺き上がりました。
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目神山の家4 − 中間検査

「軸組」と呼ばれる柱・梁・耐力壁などの建物の骨組みができてきました。

木造住宅では阪神大震災を機に、それまではっきりとは決められていなかった柱や梁を固める金物の仕様が明確に定められました。その基準に従い、場所や耐力壁の強度に応じた必要な金物により柱梁を補強していきます。


右側の柱についているのは柱の引き抜きを防ぐホールダウン金物と呼ばれるものです。左側には梁を柱に留める羽子板ボルトが上下2段に入っているのが見えます。

こういった金物を設置し終わると、検査機関による中間検査を受けることが義務付けられています(自治体によっては不要な所もあります)。中間検査に通らなければ次の工程に移ることはできません。

確認申請の提出先の検査機関から来られた担当者が耐力壁などをチェックしていきます。

特に問題はなく、無事合格となりました。

中間検査が終わると内部壁下地や造作等、大工工事も佳境に入っていきます。
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目神山の家3 − 上棟式
9月に入り天候が不安定で心配されましたが、無事上棟を迎えることができました。
今回は施主様の御好意により上棟式を執り行いました。最近はされない場合もありますが、やはり式があると一つの区切りとして身が引き締まります。

2礼2拍手1拝の後、鎹打(かすがいうち)の儀(大工さんが水引付きのかすがいを打込む)、清めの儀と続きます。

四方の柱を清めていきます。

続いて御幣掲揚の儀。棟梁に御幣を揚げていただきました。

最後にお神酒授与、乾杯で無事に式は終了です。

建方工事(木造の柱や梁を建てていく工事)の開始から3日目になるため、既に屋根と外壁下地の一部もできています。

屋根の断熱には天井上に断熱材を敷きつめる天井断熱と、屋根の直下に断熱材がくる屋根断熱があります。天井断熱では小屋裏(屋根と天井の間)の温度が高くなり過ぎて断熱性が落ちることが懸念されるため、ここでは手間がかかりますが屋根断熱を採用しています。

柱梁が組み上がり、改めて眺望の良さを再確認できました。一部保留となっていた窓の在り方も施主様立会いで決定し、壁下地・サッシ工事に移っていきます。
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目神山の家2 −基礎工事
斜面地のために基礎工事が長期間続いています。

この日は2回目の配筋検査です。コンクリートを打つ前に、鉄筋や型枠が正しく施工されているかを確認します。
鉄筋継手部分
設計通り鉄筋が入っていることはもちろんですが、設計通りの強度や耐久性を持たせるためには鉄筋を継ぐ部分の重ね長さ(「定着長さ」)、型枠と鉄筋との空き寸法(「かぶり厚さ」)も大事なので重点的にチェックします。

かぶり厚さの確保
スペーサーという資材(写真中のグレーや白のもの)を鉄筋にかませることで、コンクリートを打つ際に鉄筋が押されてかぶり厚さが不足するのを防ぎます。

検査では大きな問題はなく、数ヶ所指示した上で次の工程に進めていただきました。
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目神山の家1 −着工
西宮の山手の目神山というところで新しい現場が始まりました。石井修氏の一連の作品で有名なので建築に詳しい方ならご存知かもしれません。

外壁後退や最低敷地面積、最高高さ、緑化率、外壁の色などたくさんの基準が設けられ、設計には気を使いますが、その分とても良い環境が保たれている地域です。

そして敷地からはご覧の通りの眺望。この眺望を最大限活かした家づくりのスタートです。


目神山に限らず、阪神間の山手の敷地はかなりの確率でこのような花崗岩がごろごろと出てきます。石を避けながら建物を建てて行くのは大変ですが、使える物は外構の石積みなどに使っていきます。

付近には同じように花崗岩を積み上げた塀が至る所に見られます。こうしてそこにあるものを使っていくことで、目神山らしい風景が引継がれていきます。

石と格闘しながらの地盤改良工事もほぼ終わり、次は基礎工事に入っていきます。
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